2017年7月24日月曜日

東大SPH受験記③

仕事から一旦遠ざかり,収入も減るというdisadvantageはありながら,それを1ミリも後悔しないぐらい充実した大学院生活を送っています.早いもので,今年のSPHの入試まであと1ヶ月となりましたが,受験予定の方はぜひがんばってください.

あくまでウワサ的な,参考程度の情報ですが,2016年に行われた試験の大まかな配点は,
 英語 50%
 マーク(60問) 30~35%
 記述(3問) 15~20%
のようなかんじであったとかそうでなかったとか(お察しください).

私は受験時は英語の配分がそんなに高くないだろうと思い大して対策もしませんでしたが,たぶん英語を捨てないほうが良いです.SPHでは入学後とにかく論文を読むことが多いので,ある意味英語にウェイトを置くのは当たり前といえば当たり前ですね.

あと2017年の入試からまた内容がマイナーチェンジし,マーク問題が減り,その分記述が3つ→4つ(選択式)へ増えるようです.英語に関しては変更はないようなので,おそらく上記の配分に大幅な変更はなく,マークの点数がその分記述へ移行する感じなのでは無いでしょうか(あくまで勘ですが).








2016年9月9日金曜日

東大SPH受験記 (2016) ②

【二次試験】
口述試験、つまり面接です。
1年コースの一次合格者は午前、2年コースの一次合格者は午後に面接がありました。2016年(2017年入学)の試験では前者が12人、後者が23人で、後者には1年コース志願者2名が含まれていました。

1年コース,2年コースの受験者はそれぞれ同じ時間に集合しますが、面接は一人ずつ受験番号順に呼ばれるので、番号が後の方の受験者はかなり待つことになります。

面接室には20人以上のSPHの先生方がおり、その前で一人ポツリと座る形になります。始めにこれまでの職務内容やSPHの志望動機などを聞かれました。その後は(先に述べた志望動機以外で)SPHに期待するものは何か、他のSPHは受験しているか、などを聞かれ、あとは一次試験の小論文の内容に関連した質問を受けました。面接は一人あたり大体10分ぐらいで終了しました。

二次試験から2週間後に合格発表があり、1年コースは12人,2年コースは22人が合格となりました。


2016年8月26日金曜日

東大SPH受験記 (2016)


情報が少ないので、一応受験記を残しておきます

【一次試験】

英語(記述)
健康科学・社会科学一般(マーク)
統計学一般(マーク)
専門分野(記述)
これに加え、MPH1年コースの受験者には小論文が課されます。配点などは非公表です。過去問なしで対策することはまず不可能です。大学のサイトにも載っていますが、直接買いに行くか郵送で過去問を手に入れることをおすすめします。私は最終的に5年分解きました。ちなみに、私が試験対策を始めたのはSPHの入試説明会後からなので、試験まで残り3ヶ月の時点からのスタートでした。過去問を買ってすぐにパラパラめくってみて、軽く途方に暮れたのを覚えています。

1. 英語

公衆衛生に関連する英文で、4つ出題されます。教科書っぽいものやNEJMの抜粋もあったり、幅広い印象です。普段仕事で医学論文は読んでいましたが、出題される問題の英文のほうが圧倒的に読みづらかったです。使用されている英単語もあまり医学論文では見ないようなマニアックな(自分の単語力がないだけ?)ものも多く、苦労しました。まともに対策するのであればTOEFLの中上級向けの単語をおさらいしておくべきでしょうか。正直、自分は半分ぐらいの得点を死守できればいいやと思い、あまり英語の対策はしていません。後述のマークや専門分野の記述試験に時間をさきました。なお、最近は国内のSPHの英語試験でTOEFLスコアが必須のところが増えていて、入試よりかなり前から対策しておかないといけないケースもあるので注意が必要です。

2. 健康科学・社会科学一般

過去問を解きながら、該当箇所を教科書(「公衆衛生がみえる」)で確認し、ついでにその出題部分の周辺もおさらいするという流れをひたすら繰り返しました。「公衆衛生がみえる」は教科書としては見やすいのですが、ところどころ内容がライトな部分もあり、そのへんは適宜グーグル先生にお世話になりました。とくに医療倫理の細かい話題とか電子レセプト云々とかの話は教科書に書いてないので、ググったり厚労省のサイトにいって調べたりしました。ネットがなかったら勉強出来なかったですね。5年ぐらい解いていくと、なんとなくかぶる問題も出てくるので、そういうところは確実に覚えるようにしました。とくに、簡単な計算をさせて解を選ばせる問題は、同じような問題が複数年にわたって出てたので、極力落とさないほうがいいですね。

3. 統計学一般

大学のサイトでもアナウンスしている通り、レベルは統計検定2級相当だそうです(積分とか確率の計算とか、中高で習うような数学が全く理解出来てないor忘れきった方だと正直つらいと思います…)。χ二乗検定やt統計量を手計算したことなどなかった自分には、当初わけがわかりませんでしたが、上記同様、教科書(「統計学基礎」統計検定をやってるところが出している教科書)をみながら過去問をひたすら解きました。ただ教科書の記載内容すら自分にはチンプンカンプンだったので、ここでも所々グーグル先生にお世話になりました。過去問を5年分解き終わったあたりで、6、7割はとれそうな気分になっていたのですが、いかんせん解答がないので本当に自分の出した答えがあってるのか確証が持てませんでした。試験までのこり3週間ぐらいの時期に統計検定2級の過去問(もちろん解答付き)に手を出し始めたのですが、今思えばこれが相当良かった気がします。この過去問を説いたあとにもう一回入試の過去問を解くと、大体8、9割ぐらいはなんとか解答できるぐらいまでになっていました。なお、試験では電卓が貸し出されますが、関数電卓です。当日試験会場で、親切にも使い方のレクチャーがあったりしましたが、なんとなく使い方は分かっておいたほうがいいと思います。iPhoneの電卓は、横画面にすると関数電卓風になるので、じぶんはそれで練習してました。

4. 専門分野
疫学、医学統計、予防医学などなど、計8分野から3分野を自由に選択して解答します。人によって得意不得意あると思いますが、自分は予防医学(有病率や検査の感度、特異度などが与えられて、陽性的中率を答えさせるような問題。比較的計算が簡単)と医事法(だいたい異状死とか法医解剖のあたりがでる)と公衆衛生調査方法論(研究デザインや調査方法などについて。ラッキーな年は初見でも答えられるような内容)などに狙いを定めていました。全部で3つ回答するので、あと1分野ぐらい保険をかけて対策をしておくといいと思います。医療倫理や精神保健は、なかなか完答は厳しいのではないかという印象です。

5. 小論文

「自らの実務経験に基いて、公衆衛生上の課題と対策について論ぜよ」というお題でした。おそらく毎年同じテーマなんじゃないかと思います。とくに文字数の制限はありませんが、800〜1000字程度でなんとなく練っておくのがいいと思います。試験時間が1時間しかないので、その場で初めて考えて書くにはやや厳しい気がします。

試験当日は100人弱ぐらいの受験者(ところどころ来てない人もいましたが)で、女性の受験者がやや多い様な印象でした。5月のSPH説明会には150人以上来ていましたが、蓋を開けてみると受験者はその2/3程度でした。毎年そんな感じなんでしょうか。年齢層は、大学生ぐらいの人から60歳手前ぐらいの方もいて、幅広い感じでした。
英語は一応完答しましたが、良くて7割、悪くて5割の印象。健康科学・社会科学一般と統計学一般はマークテストで計60問ですが、時間をさいただけあってか、良くて9割、悪くても8割はいってそうな手応えでした。記述は、当初の予定通り予防医学と医事法と公衆衛生調査方法論を選択し、合ってるかはわかりませんでしたがひとまず完答しました(終了後にうっかりな記載間違えをしていたことに気づき凹みました)。

一次試験の2日後に大学の掲示板に合格者が貼りだされるので、夕方に見に行きました。結果は…、なんとか口述試験に進むことが出来ました。大学のサイトなどでは確認できず、地方から受験している人にはやや不親切かなぁ、とか思ったりしました。



<以下は単なる「印象」です>
・やはり医療系出身者(特に医師)のほうが有利、かも。あくまで問題の傾向の話。
・受験倍率的には、2年コース>1年コース。
・記述で逆転を狙わず、マークテストで確実に点を稼ぐと吉。
・検定料3万円が高い。


なお、「東大 MPH」で検索すると上位にでてくる、OBの方のこちらのブログが大変参考になりました。この場を借りてお礼申し上げます。